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100歳まで健康な目を保つことを基準にし、さらに患者さまの生活環境、仕事内容、ご希望などを考慮しながら、患者さまに合わせた治療計画を立てて診療にあたります。
一度の診察ですべてを決められないことも多いですが、誠意をもって患者さまに向き合っていきたいと考えています。
先生が医師という職業を選んだ理由について教えてください。
とくにきっかけとなるエピソードがあるわけではないのですが、父親には小さいころから将来について「お前は商売や営業向きじゃない。なにか資格を持ってしかできない職業に就いたほうがいい」とずっといわれ続けていたのが印象に残っています。父には、私がのんびりしているように見えていたのかもしれませんね(笑)。
そして、ちょうど私が進路を選ぶ段になるころ、新聞では連日のように「将来医師過剰の時代が来る」と報道されていました。いってみれば、お医者さんが不人気の時代だったわけです。ですが、そういうときでも医師の成り手はいなければならないですし、今後医師が不要になるわけでもないはずだからと思い、医大に進みました。医師免許という国家資格が必要な職業に就いて、父の気持ちに応えたいという思いもありましたね。
診療科目で眼科を選ばれたのはなぜですか?
私はとくに家族や親族に医師がいたわけではなく、医師という職業自体そこまで身近ではなかったんです。当時の私にとって眼科の医師は、テレビドラマのイメージがいちばん具体的でしたね。手術をして、目のまわりに包帯を巻いて、その後1週間はなにもできず、ただ目が見えるように祈るしかない。ようやく包帯が取れるようになり、患者さまが目を開けるまではもうドキドキです。患者さまが「見える!」と言葉を発すると、まわりの医師たちが「ああ、よかった!」と安堵するというようなイメージでした。
だからこういう世界なら、まだまだ発展の余地があるだろうと思い、眼科に進みました。大学を卒業するときには、そのときのイメージよりも眼科の技術はもっと進んでいることがわかりましたし、その当時といまを比べても、考えられないくらい発展しています。
たとえば眼底検査では、いまはOCTという眼底三次元画像解析装置が主流になっていて、眼球の縦の断面図を見ることができます。でも、私が医大を卒業するころの検査画像は二次元で、赤い点が見えていたら奥の血管が腫れているなど、平面から奥がどうなっているか考えて診察するという方法をとっていました。それだけをとってもものすごい進歩ですし、これからも眼科の技術はどんどん進んでいくと思います。
先生が診察の際に心がけていることを教えてください。
私は、患者さまに納得して帰っていただくことを第一に考えています。来院されるのは、目に関してなにかお困りのことがある方。患者さまがいま、どういう状態でどういうことが起こっているのか、どういう治療法があるのかを、できるかぎり丁寧に説明するようにしています。
また、同じ病気でも患者さまによっては治療法が異なることがあります。私は100歳まで健康な目を保つことを基準に考えていて、たとえば患者さまが90歳だったらあと10年、30歳だったらあと70年ということになります。あと10年日常生活に支障のない視力を保つために、どのくらいの治療なら患者さまに負担にならないのか。あと70年健康な目を維持するために、いましっかり治療しておくことが大切ではないか。年齢だけではなく、生活環境や仕事状況なども考えなければなりませんので、1度の診察だけで治療計画を決められないことも多いです。一人ひとりの患者さまにしっかりと向き合っていきたいと考えています。
目の健康のために、日ごろから気を付けたほうがいいことなどがあれば教えてください。
いわゆるメタボリックシンドロームの状態になると、目の血管も詰まりやすくなりますし、糖尿病になれば目の合併症の心配もあります。また、血圧が高い人であれば、眼底出血を起こしやすいです。すごく難しい質問ですが、目の健康に関して一言でいうとしたら、「身体にいいことをしましょう」ということにつきますね。しっかり睡眠を取る、規則正しい生活をする、程よく日光を浴びる、適度な運動をして、過食を避けるなどです。
目の病気は、一人ひとりなりやすい病気が違うので、いまは特別問題がなくても、一度診察に来ていただければ「ドライアイになりやすい」「老眼になりやすい」など、なにかアドバイスさせていただくことも可能です。なかには症状が出ない病気もありますので、定期的に眼科で診てもらえば早期発見にもつながります。なにかお困りのことがある方も、そうでない方も、お気軽にご来院いただければ幸いです。